結論:1回の距離は「直近30日の最長+10%」まで
まず、自分に近い行を探してください。
| あなたの状況 | 最初の一歩 |
|---|
| 走るのは数年ぶり | 歩きと走りを交互に20〜30分。週2回から |
| 5kmなら走れる | 次の最長は5.5kmまで。更新は週1回 |
| 筋トレの日にも走りたい | 脚を鍛えた日と長く走る日を分ける |
| すね・膝・足の裏が痛む | その日は走らない。押して痛む骨があれば受診 |
| さいたまマラソンに出る | 本番まで約19週。上限を逆算する |
「直近30日の最長」は、スマートウォッチやランニングアプリの記録で確かめられます。この1ヶ月でいちばん長く走ったのが6kmなら、次に走っていい最長は6.6kmです。別所沼公園の周回コース(1周940m)なら、6kmの次は7周(約6.6km)まで、と数えられます。それより短い距離なら、回数を重ねても構いません。危ないのは、最長距離を一気に塗り替える1回です。
最長の更新を週1回までにしているのは、研究から直接出た結論ではありません。毎回+10%ずつ塗り替えていくと、週3回走るだけで1週間に3割以上伸びてしまうため、それを防ぐために安全側へ倒した運用です。
5,205人の記録でわかった「ケガが増える1回」
2025年にBritish Journal of Sports Medicineで発表された研究は、87を超える国のランナー5,205人を18ヶ月間追いかけました。分析したのは、GPSウォッチに残った58万8,071回分の走行記録です。
1回ごとの距離を「その日までの30日間でいちばん長く走った距離」と比べ、伸び幅ごとに、その後のケガの起こりやすさを調べています。期間中、35%の人がランニングによるケガを経験しました。

※ 使いすぎによるケガの発生率。直近30日の最長距離に対する伸びが10%までの回を1とした比。Frandsen et al. 2025(British Journal of Sports Medicine)より作図。
最長を10%超えただけの「少し伸ばした日」で、ケガの発生率はすでに1.64倍でした。3割から2倍まで伸ばした日も1.52倍とほぼ同じで、一気に2倍を超えた日は2.28倍です。つまり、少しの伸ばしすぎでも、リスクはもう上がっています。
意外だったのは、週単位の比べ方です。1週間の合計距離を前の週や前の3週間と比べる物差しでは、増やした週ほどケガが増えるという関係は見られませんでした。研究チームは、週の合計より1回ごとの距離で考えるよう勧めています。
ただし、対象は走歴の中央値が9.5年の経験者で、8割近くが男性です。ケガは本人の申告にもとづき、観察研究なので原因と結果までは言い切れません。それでも、走り始めたばかりの人は脚がまだ衝撃に慣れていないぶん、このルールを守る意味はむしろ大きいと考えられます(ここは推論です)。
筋トレしている人ほど、距離を伸ばしすぎやすい
「ジムで鍛えているのに、なぜケガをするのか」。答えは、体の部品ごとに慣れる速さが違うことにあります。
| 調べたこと | わかったこと |
|---|
| 走り始めの人と経験者のケガ(13研究のまとめ) | 1000時間あたり17.8件と7.7件。走り始めは2倍以上 |
| 筋肉と腱の慣れ方(レビューと実験) | 腱は組織の入れ替わりが遅く、筋肉より遅れて強くなる |
| 腱を強くする条件(27研究のまとめ) | 効くのは負荷の大きさ。12週以上の取り組みで効果が大きい傾向 |
筋肉は鍛えれば比較的早く応えてくれますが、筋肉の力を骨に伝える腱は組織の入れ替わりがゆっくりで、同じ負荷を受けても慣れるまでに時間がかかります。
ジムで体を作ってきた人には、ここにズレが生まれます。息は上がらず、脚の筋肉にも余裕があるので、初日から5km、翌週に10kmと伸ばせてしまう。けれど、すねの骨や足首・膝まわりの腱は、走る衝撃を何千回も受けることにまだ慣れていません。1km6分のペースで1分間に165歩ほど走ると、1kmでおよそ千回の着地をくり返す計算になります。
長距離ランナーの骨のストレス障害をまとめた専門家の解説は、疲労骨折の手前から疲労骨折までの骨の傷みを、小さな傷ができる速さが修復を上回ったときに起こるものと説明しています。筋肉に余裕があることは、骨や腱に余裕があることを意味しません。筋トレ経験者だけを調べた研究はないので推論を含みますが、体力がある人ほど組織が追いつく前に距離を伸ばせてしまう、という構図です。
ジムの30分は「走れる脚」をつくる時間にする
「では、ジムでは何をやればいいのか」。腱の研究をまとめた分析では、腱を強くしたのは動かし方の違いより負荷の大きさで、軽い運動を回数多くこなすより、重さをしっかりかけるほうが効いていました。
- ふくらはぎ(カーフレイズ)|膝を伸ばして立って行うものと、座って膝を曲げて行うものの2種類。重めの負荷で、上げ下げをゆっくり行います。すねの骨のストレス障害を防ぐ方法として、先の専門家の解説もふくらはぎの強化を挙げています。
- 片脚で支える(ブルガリアンスクワット、ステップアップ)|走ることは、片脚での着地の連続です。両脚のスクワットに加えて、片脚で体を支える力を育てます。
- お尻と太もも裏(ルーマニアンデッドリフト、ヒップリフト)|着地の衝撃を膝だけで受け止めないための土台になります。
- 体幹(ピラティス)|疲れてくる後半でも、骨盤と背骨の位置を保てるようにします。
1週間の組み方は、たとえばこうです。
| 曜日 | 例 |
|---|
| 月 | ジム30分:ふくらはぎと片脚の種目 |
| 水 | ラン20〜30分(会話できる速さ) |
| 木 | ジム30分:上半身とピラティス |
| 土 | その週いちばん長いラン(最長+10%まで) |
| 火・金・日 | 休むか、歩く |
ただし、筋トレさえすれば安心とは言い切れません。ニューヨークシティマラソンに初めて出る720人を、筋トレをする組と、しない組に分けた研究があります。筋トレ組は、太ももの前・お尻の横・体幹を鍛える10分のメニューを、紙と動画を見ながら週3回、12週間続けました。結果、完走できなくなるほどの使いすぎのケガは7.1%と7.3%で、差はありませんでした。
いっぽう、25の試験をまとめた分析では、筋トレでスポーツのケガがおよそ3分の1に減っています(詳しくは西新宿店のランナー向けの記事で扱いました)。2つを並べると、自己流の軽い補強を少し足すだけでは、距離の伸ばしすぎまでは帳消しにできないと読めます。しっかり負荷をかけた筋トレなら初マラソンのケガが減るのかは、この研究では確かめられていません。筋トレは、距離のルールとセットで効かせる土台です。
「走ると、せっかくつけた筋肉が落ちるのでは」と心配な人もいるでしょう。15研究のまとめでは、筋線維のレベルで小さなブレーキが見られ、それは自転車より走る場合に出やすいという結果でした。ただ、筋肉全体の大きさには差が出にくいことがこれまでの研究で示されています。週に数回の短めのランなら心配しすぎなくてよく、気になる人は脚を鍛える日と長く走る日を分ければ十分です。順番の考え方は筋トレと有酸素の順番の記事にまとめています。
さいたまマラソン2027に出る人の逆算
さいたまマラソン2027は2027年2月14日(日)に、GMOアリーナさいたま(さいたまスーパーアリーナ)周辺を発着するコースで行われ、マラソンの部の制限時間は号砲から6時間です。
北浦和からさいたま新都心までは京浜東北線で2駅。10月から数えると、本番まで約19週あります。
| 今の最長距離 | 本番3週間前までに届く上限(試算) |
|---|
| 3km | 約14km |
| 5km | 約23km |
| 7km | 約32km |
| 10km以上 | 30km前後なら余裕をもって届く |
※ 10月から本番3週間前(1月下旬)まで、最長の更新を週1回・+10%ずつ16回続けた場合の計算。
今の最長が5kmなら、ルールを守った場合の本番前の最長は20km台前半です。フルマラソンの半分ほどですが、ここで無理に伸ばすより、歩きを混ぜる作戦を最初から決めておくほうが現実的です。
市民ランナー42人がフルマラソンを「走りと歩きを交互に」と「走り続ける」の2通りで走った研究では、ゴールタイムに統計的な差はありませんでした(平均4時間14分と4時間7分)。そのうえ、走りと歩きを交互にした組のほうが、レース後の脚の痛みと疲れが少なかったと報告されています。6時間の制限を平均すると1kmあたり8分半ほど。後ろのブロックはスタートラインを越えるまで20分ほどかかる場合があり、途中には関門もあるので、大会の案内で確かめておきましょう。
痛みが出たら、まず確かめる3つのこと
走り始めの痛みは、軽いものから、走り続けると悪化する骨のストレス障害まで幅があるので、次の3つに当てはまる日は走らないでください。
- 骨の一点を押すと痛い|すねや足の甲などの骨を押して、ピンポイントで痛む。骨のストレス障害のサインのことがあるので、整形外科で確かめます。
- 走るほど痛む・翌朝も残る|ペースを落としても続く痛みは、脚が受け止められる量を超えている合図です。その週は走らず、痛みの出ない運動に切り替えます。
- 腫れ・熱っぽさ・歩くのもつらい|自己判断で様子を見ずに受診してください。
ジムでは、痛む場所に負担のかからない種目に切り替えれば、上半身や体幹、反対側の脚のトレーニングは続けられることが多いものです。40代以降に増える膝の痛みは、膝の痛みの記事でも扱っています。
RESISTの答え:走る日の脚を、北浦和店の30分でつくる
北浦和店は北浦和駅東口から徒歩4分、朝8時から夜22時まで毎日開いていて、筋トレ・ピラティス・ストレッチを1回30分の通い放題で組み合わせられます。
走る予定に合わせて、ジムの中身を振り替えられるのが通い放題の強みです。長く走る前日は脚を軽めにし、走った翌日はピラティスとストレッチで整える。脚の日は、重めのカーフレイズと片脚の種目をしっかりやる。腱を強くするのは負荷の大きさなので、完全マンツーマンでフォームを見ながら、ひとりでは上げにくい重さまで安全に上げていけることにも意味があります。
正直に書くと、RESISTはランニングの専門クラブではありません。得意なのは、走り方の細かな指導より、走るための体の土台をつくることです。ウェア・シューズ・タオルは無料で借りられるので、仕事帰りに手ぶらで寄れます。当日予約もできるので、天気に合わせて走る日とジムの日を入れ替えることもできます。
◾️ 走り始める前に、脚の土台を一度見てもらいたい方へ。RESISTの無料体験はこちらから。北浦和店の詳細は店舗ページをご覧ください。
まとめ:伸ばすのは週の合計より、1回の最長を少しずつ
- ケガを分けるのは、週の合計より1回の距離。直近30日の最長+10%までが目安です。
- 5,205人を18ヶ月追った研究では、直近30日の最長を少し超えただけの日でも、ケガの発生率が1.64倍に上がっていました。
- 腱と骨は筋肉より慣れるのが遅いので、体力がある人ほど伸ばしすぎに注意します。
- ジムでは、重めのカーフレイズ、片脚の種目、お尻と体幹で、走れる脚の土台をつくります。
- さいたまマラソンに出る人は、本番まで約19週。上限を逆算し、足りない分は歩きを混ぜます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 週に何回走ればいいですか?
走り始めは週2〜3回で十分です。14の研究(23万人分)をまとめた分析では、走る人は走らない人より死亡リスクが27%低く、週1回でも差が見られました。回数や時間を増やすほど下がる、という関係ははっきりしていません。回数を増やすより、ケガなく続けることを優先してください。
Q2. 走ると筋肉は落ちますか?
大きく落ちる心配は小さいです。筋トレと有酸素運動を組み合わせても、筋肉全体の大きさには差が出にくいとされています。ただし、走る場合は筋線維のレベルで小さなブレーキがかかりやすいという報告もあるので、筋肉を増やしたい時期は、脚の日と長く走る日を分けると安心です。
Q3. ジムで脚を鍛えた日に走ってもいいですか?
短く軽いランなら構いません。避けたいのは、脚が疲れている日に最長距離を更新することです。疲れた脚で着地をくり返すとフォームが崩れやすくなるので、長く走る日は、脚の筋トレの当日と翌日を避けて組みます。
Q4. すねや膝が痛いときは、筋トレも休むべきですか?
全部を休む必要はありません。痛む場所に負担がかからない上半身、体幹、ピラティスは続けられることが多いです。ただし、骨の一点を押して痛む場合は、先に整形外科で確かめてください。
参考文献
[1] ランニング1回ごとの距離の急な伸びと、使いすぎによるケガの関係を5,205人で18ヶ月追ったコホート研究. British Journal of Sports Medicine. 2025. (PMID: 40623829)
[2] ランナーの種類ごとに、走行1000時間あたりのケガの発生率をまとめたシステマティックレビューとメタ分析. Sports Medicine. 2015. (PMID: 25951917)
[3] 筋肉と腱の発達のずれが腱障害のリスクになりうることをまとめたレビュー(若年アスリート). Frontiers in Physiology. 2017. (PMID: 29249987)
[4] 高い負荷を連日かけたときの、ふくらはぎの筋肉と腱の反応を調べた実験. Journal of Experimental Biology. 2023. (PMID: 37721047)
[5] 運動による健康な成人の腱の変化を27研究でまとめたシステマティックレビューとメタ分析. Sports Medicine - Open. 2015. (PMID: 27747846)
[6] 長距離ランナーの骨のストレス障害の管理と予防をまとめた専門家の解説. Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy. 2014. (PMID: 25103133)
[7] ニューヨークシティマラソン初出場の720人に、ケガ予防の筋トレを割り付けたランダム化試験. Sports Health. 2020. (PMID: 31642726)
[8] 有酸素運動と筋トレの併用が筋線維の肥大に与える影響を15研究でまとめたメタ分析. Sports Medicine. 2022. (PMID: 35476184)
[9] 市民ランナーのフルマラソンで、走りと歩きを交互にする作戦と走り続ける作戦を比べたランダム化試験. Journal of Science and Medicine in Sport. 2016. (PMID: 25467199)
[10] ランニングと全死亡・心血管死亡・がん死亡のリスクの関係を14研究でまとめたメタ分析. British Journal of Sports Medicine. 2020. (PMID: 31685526)
[11] さいたまマラソン2027 大会要項(saitama-marathon.jp)
[12] さいたま市「南区ウォーキングジョギングガイド」(city.saitama.lg.jp)