デスクワークの頭痛は、首肩の「筋肉の緊張」から
まず、あの頭痛の正体から。日本人にもっとも多い頭痛が、緊張型頭痛です。片頭痛のようにズキンズキンと脈打つのではなく、「頭全体が締めつけられる」「重い」「後頭部から首すじが張る」という、あの鈍い痛み。心当たりのある人は多いはずです。
その主な引き金が、長時間のデスクワークによる、首と肩の筋肉の持続的な緊張です。前かがみでモニターを覗き込む姿勢が続くと、頭(成人で約5kg)を支える首肩の筋肉は、休みなく働き続けます。この過緊張が、頭を覆う筋膜や神経を刺激し、締めつけるような痛みを生む。さらに、仕事のストレスや浅い呼吸が、この緊張に拍車をかけます。
つまり、緊張型頭痛は「頭の問題」というより、「頭を支える首肩の問題」なのです。だとすれば、対策の方向も見えてきます。マッサージで一時的にほぐすだけでなく、その首肩を、疲れにくい状態に作り替えること。ここで登場するのが、筋力トレーニングです。
首肩を鍛えたオフィスワーカーで、頭痛が約半分に
「頭痛に筋トレ?」と疑う気持ちは、よく分かります。でも、これを実際に検証した、質の高い研究があります。
デンマークで573人のオフィスワーカーを対象に行われた研究です。首と肩の筋肉を鍛える高強度の筋力トレーニングを、週に合計1時間(20分×週3回、などいくつかの配分で)、20週間続けてもらい、頭痛がどう変わるかを調べました(Musculoskeletal Science and Practice, 2017)。

※ オフィスワーカー573人を対象に、首・肩の筋力トレーニングを週合計1時間・20週間実施。トレーニングを行った全グループで、頭痛の頻度・強度が運動なし群に比べ約50%減少した(P<0.001)。出典: Musculoskeletal Sci Pract, 2017(PMID: 28854396)
結果は、はっきりしていました。トレーニングを行ったグループでは、運動をしなかったグループに比べて、頭痛の頻度も、強さも、約50%減少したのです(統計的にも明確な差でした)。週にたった1時間、首肩を鍛えるだけで、頭痛がおよそ半分になった。しかも、指導つきでしっかり行ったグループでは、鎮痛薬を使う回数も減っていました。
薬は、痛みが出てから抑える「事後の対処」です。それに対して首肩を鍛えることは、頭痛が起きにくい体を作る「事前の対策」。この違いは、繰り返す頭痛に悩む人にとって、とても大きいのです。
「ほぐす」より「鍛える」。ストレッチだけでは足りない
ここで、もう一歩踏み込んだ、少し意外な話をします。「首肩がこって頭が痛いなら、ストレッチでほぐせばいいのでは?」。気持ちは分かりますが、データはそう単純ではありません。
緊張型頭痛に対する運動の効果を、運動の種類ごとに切り分けて分析した研究(12件の試験・759人を統合したネットワークメタ分析)があります。そこで見えたのは、こういう構図でした(Postgraduate Medical Journal, 2025)。

※ 緊張型頭痛に対する運動の種類別の効果(ネットワークメタ分析)。筋肉を鍛えるレジスタンス運動は頭痛の頻度を有意に減らした一方、ストレッチ単独はむしろ頻度を増やす傾向が示された。出典: Postgrad Med J, 2025(PMID: 40257956)
頭痛の頻度をはっきり減らしたのは、筋肉を鍛える「レジスタンス運動」でした。一方で、ストレッチだけを行った場合は、頭痛の頻度がむしろ増える傾向が見られたのです。ほぐすことが悪いわけではありませんが、「ストレッチさえすれば頭痛が減る」という素朴な期待は、この分析では支持されませんでした。
これは、前の章の話とぴったり重なります。緊張型頭痛の根っこにあるのが「首肩を支える力の不足」なら、必要なのは伸ばすことよりも、支える力を育てること。一時的にゆるめるのではなく、疲れにくい首肩そのものを作る。それが、遠回りに見えて、いちばんの近道なのです。
西新宿で働きながら、頭痛を減らす始め方
とはいえ、「首を鍛える」と聞くと、やり方を間違えて痛めそうで不安な人も多いはずです。首まわりはデリケートで、自己流の負荷は逆効果になりかねません。だからこそ、正しいフォームと適切な強度で行うことが大切です。
RESIST西新宿店は、都庁前・初台からも通える立地で、デスクワークで固まった首・肩・背中を、痛めないフォームで少しずつ鍛え直していく設計が得意です。頭を支える首肩の筋肉に加えて、猫背の土台になる背中や体幹まで整えると、そもそも首に負担が集中する姿勢そのものが変わっていきます。仕事帰りの30分を、「頭痛が起きにくい体」への投資に変える。それが、薬に頼り続けない現実的な一手です。
ただし、最後に大切な注意を。この記事が対象にしているのは、あくまで「デスクワークで繰り返す、締めつけるタイプの頭痛」です。突然の激しい頭痛、これまで経験したことのない頭痛、手足のしびれや吐き気・発熱をともなう頭痛、片側がズキンズキンと脈打つ強い頭痛などは、緊張型頭痛とは異なる原因が隠れている可能性があります。その場合は運動より先に、必ず医療機関を受診してください。
◾️ デスクワークの不調に強い体づくりを相談するなら、RESISTの無料体験はこちらから
肩こりそのものの改善は肩こり改善の記事で、スマホによる首への負担はスマホ首の記事で詳しく解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 首を鍛えると聞くと、逆に痛めそうで怖いです。
その不安は正しく、だからこそ自己流ではなく、正しいフォームと軽い負荷から始めるべきです。研究で頭痛を減らした首肩のトレーニングも、いきなり重い負荷をかけるのではなく、段階的に強度を上げていくものでした。首まわりはデリケートなので、最初は専門家の指導のもとで、痛みの出ない範囲から始めるのが安全です。正しく行えば、鍛えることはむしろ首肩を守る方向に働きます。
Q2. マッサージやストレッチは意味がないのですか?
まったく無意味ではありません。こわばった筋肉を一時的にゆるめる心地よさや、その場の楽さはあります。ただし、緊張型頭痛の「頻度そのものを減らす」効果としては、ストレッチ単独は弱く、研究ではむしろ増える傾向も見られました。マッサージやストレッチは「その場の対処」、筋力トレーニングは「起きにくい体づくり」と役割を分けて考えるのがよいでしょう。根本対策の主役は、鍛えることです。
Q3. どれくらいで頭痛は減ってきますか?
紹介した研究では、20週間(約5か月)の継続で明確な効果が出ています。運動による体の変化は数週間から数か月かけて現れるため、1〜2回で劇的に変わるものではありません。焦らず、週に合計1時間程度を目安に続けることが大切です。継続できる仕組みづくりは、RESISTがもっとも得意とするところなので、一人では続かなかった方こそ相談してください。
Q4. 頭痛薬を飲み続けているのですが、やめられますか?
自己判断で急にやめるのは避けてください。ただし、鎮痛薬を月に何度も使う状態が続くと、かえって頭痛が慢性化する「薬物乱用頭痛」のリスクもあります。首肩を鍛えて頭痛そのものの頻度を減らせれば、結果として薬に頼る回数を減らせる可能性があります。薬の使用が多い方は、まず医療機関に相談しつつ、並行して「頭痛が起きにくい体づくり」に取り組むのがよいでしょう。
参考文献
[1] Andersen CH, Jensen RH, et al. Effect of resistance training on headache symptoms in adults: Secondary analysis of a RCT. Musculoskeletal Science and Practice. 2017. (PMID: 28854396)
[2] Tao QF, Hua C, et al. Disentangling preventive effects of differential exercise types on tension-type headache: a component network meta-analysis of randomized controlled trials. Postgraduate Medical Journal. 2025. (PMID: 40257956)
[3] 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(mhlw.go.jp)