結論:1回にまとめて摂って大丈夫。見るのは1日の合計です
筋トレをしている人の目安は、体重1kgあたり1.6gです。49の研究をまとめた分析で、これを超えても筋肉の増え方は変わらなくなる、という線が出ています。
| あなたの体重 | 1日のタンパク質の目安 |
|---|
| 50kg | 約80g |
| 60kg | 約96g |
| 70kg | 約112g |
| 80kg | 約128g |
この合計さえ足りていれば、1食ぶんが30gでも50gでも構いません。「1食20gを目安に」という言い方をよく聞きますが、あれは足りない人が下回らないための下限の目安であって、超えた分が無駄になるという意味ではありません。上限だと誤解されて広まったのが「20g説」です。
配り方は、生活に合わせて選んでください。
- 朝に食欲がない人|朝は卵1個と納豆で約14g。残りを昼と夜で埋めます。
- 夜にまとめたい人|夜に肉を200g食べる形でも問題ありません。体は使い切れます。
- 間食を使える人|午後にプロテインを1杯(約20g)挟むと、夜の量を無理に増やさずに済みます。
以下は、なぜ「20gまで」が誤りなのかと、目標量を実際の食事に落とす方法です。
「1回20gまで」はどこから生まれたのか
この通説には、はっきりした出どころがあります。2014年の実験です。
トレーニング経験のある男性48人に、片脚だけのレッグプレスとレッグエクステンションをしてもらい、直後にホエイプロテインを0g・10g・20g・40g のいずれかで飲んでもらいました。そして筋肉が作られる速さを測ります。

※ 0gと比べた増加率。Witard et al. 2014(American Journal of Clinical Nutrition)より作図。
20gで49%増、40gで56%増。差は7ポイントしかありませんでした。ここから「20gで頭打ち、それ以上は余る」という理解が広まります。
見落とされたのは条件のほうです。鍛えたのは片脚だけで、参加者は体重80kg前後の男性。使った筋肉が少なければ、材料もそれほど要りません。
実際、2016年に全身のトレーニングで同じ比較をすると、結果は変わりました。40gのほうが20gより筋肉を作る反応が大きかったのです。しかも興味深いことに、体の大きさ(除脂肪量)で差は出ませんでした。上限を決めていたのは体格ではなく、その日にどれだけの筋肉を使ったかでした。
| 調べたこと | わかったこと |
|---|
| 片脚だけの運動+ホエイ0〜40g(2014年・48人) | 20gで49%増、40gで56%増。この差の小ささが「20g上限説」の出どころ |
| 全身の運動+ホエイ20gと40g(2016年・30人) | 40gのほうが反応が大きい。体格による差はなし |
| 運動後にタンパク質25gと100g(2023年・トレーニング経験者) | 100gのほうが反応は大きく、12時間以上続いた。上限は見つからなかった |
「余った分は尿に出る」も、正しくありません
もう一つよく聞くのが「多く摂っても余った分は燃やされて出ていくだけ」という話です。2023年の研究が、ここを直接調べました。
運動後にタンパク質を25gまたは100g摂ってもらい、4種類の標識アミノ酸を使って体の中での行き先を追跡しています。結果、100gのほうが体を作る反応は大きく、しかも12時間以上続きました。そしてアミノ酸が燃やされる量も、タンパク質が分解される量も、ほとんど増えていません。余った分が捨てられていたのではなく、時間をかけて使われていたわけです。
ただし、ここから「多いほど良い」と読むのは行きすぎです。1日の合計で見れば、体重1kgあたり1.6gを超えたあたりで筋肉の増え方は頭打ちになります。1回にまとめて摂れることと、たくさん摂るほど伸びることは別の話です。
正確に言えば、この2023年の研究はトレーニング経験者が運動した直後の条件で、参加人数も多くありません。「100g摂りましょう」という提案として読むと行きすぎます。「20gで打ち止めという前提が間違っていた」という意味に受け取ってください。
1日の目標を、実際の食べ物で組み立てる
ここが実際に手を動かす部分です。目標量を覚えても、食材のグラム数が頭に入っていないと動けません。
| 食べ物(1食分の目安) | タンパク質 |
|---|
| 鶏むね肉 100g(皮なし) | 約23g |
| 鮭 1切れ(80g) | 約18g |
| ツナ缶 1缶(水煮70g) | 約13g |
| 木綿豆腐 半丁(150g) | 約10g |
| 納豆 1パック | 約8g |
| 牛乳 コップ1杯(200ml) | 約7g |
| 卵 1個 | 約6g |
| プロテイン 1杯 | 約20g |
体重60kgの方なら、1日の目標は約96g。たとえばこうなります。
朝に卵2個と納豆で20g、昼に鶏むね肉100gとご飯で25g、夜に鮭1切れと豆腐半丁で28g。ここまでで73gなので、残り23gをプロテイン1杯と牛乳で埋めれば届きます。
見ていただきたいのは、普通に食べているつもりでも意外と届かないという点です。特に朝食は落ちやすく、パンとコーヒーだけなら10gにもなりません。足りない日が続くようなら、いちばん手を入れやすいのは朝です。
なお、プロテインは必須の道具ではありません。食事から届いているなら要りません。摂るタイミングを気にする必要もないことは、プロテインのタイミングを扱った記事にまとめています。
摂りすぎは、どこから心配になるのか
「タンパク質が腎臓に悪い」という話も、よく一緒に語られます。
健康な成人については、2018年に28の研究(1,358人)をまとめた分析があり、高タンパク質の食事と通常の食事で腎機能に差は出ませんでした。この分析での「高タンパク質」は体重1kgあたり1.5g以上、または1日100g以上です。つまり上の表の目安量は、この範囲に収まっています。
ただし、これは腎臓の病気がない人の話です。腎機能を指摘されている方、持病がある方は、自己判断で増やさず主治医に相談してください。体重1kgあたり2gを大きく超えるような極端な摂り方も、この分析が扱った範囲の外です。
RESISTの答え:難しいのは知識より、続く形に落とすところ
ここまで読んで、たぶん多くの方が「わかったけど、毎日これを組むのは面倒だな」と思ったはずです。実際、体づくりでつまずくのはほぼここです。何を食べるべきかを知らないから失敗するのだ、とは限りません。忙しい日の自分が実行できる形になっていないから続かないのです。
RESISTでは、トレーニングと食事を両輪として扱っています。何を食べればいいかという質問には、DELISH KITCHEN監修の宅配食「Meals」も含めて具体的に答えます。無理な制限をかけず、続けられる食習慣に寄せるのが方針です。
細かい質問は、次のセッションを待つ必要もありません。公式LINEでトレーニングの悩みも食事の質問も受けているので、「この昼食で足りていますか」とその場で聞けます。タンパク質の目標量は、こういう小さな確認を何度か挟むうちに感覚として身につきます。
トレーニング側も同じ設計です。30分・通い放題なので、1回を長くするより通う回数で積み上げられます。通い放題プラン会員の平均来店頻度は週4.6回。食事の話を挟む機会も、それだけ増えます。
◾️ 食事も含めて一度プロに見てもらいたい方へ。RESISTの無料体験はこちらから
まとめ:小分けより、1日の合計
- 「1回20gまで」は誤りです。出どころは片脚だけを鍛えた実験で、全身を鍛えれば40gのほうが反応は大きくなります。
- 100gを一度に摂った研究では、体を作る反応が12時間以上続き、余った分が燃やされることもありませんでした。
- だから小分けにこだわる必要はありません。朝が弱いなら夜にまとめて構いません。
- 目標は体重1kgあたり1.6g(60kgなら約96g)。これを超えても筋肉の増え方は頭打ちになります。
- 健康な人であれば、この範囲で腎機能への影響は確認されていません。持病がある方は主治医に相談してください。
トレーニング側の組み立ては、週に何セットやればいいかの記事と合わせて読むと全体がそろいます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 結局、1回に何gまで摂っていいのですか?
上限を決める必要はありません。1日の合計が目標に届いていれば、1食が30gでも50gでも体は使えます。強いて目安を挙げるなら、全身を鍛えた日の運動後は30〜40gを1つの区切りにすると組み立てやすくなります。ただしこれは「それ以上は無駄」という意味を含みません。献立を考えるときのきりのいい数字というだけです。
Q2. 朝食でタンパク質を摂るのが難しいです。
朝を無理に増やすより、まず1日の合計を数えてみてください。届いているなら朝が少なくても問題ありません。届いていない場合、朝はいちばん伸びしろが大きい時間帯です。卵1個(約6g)と納豆1パック(約8g)、牛乳コップ1杯(約7g)を足すだけで20gを超えます。調理の要らないものから始めるのが続きます。
Q3. プロテインは飲んだほうがいいですか?
食事から目標量に届いているなら必要ありません。プロテインは不足を埋める道具で、それ自体に特別な効果が宿るわけでもありません。忙しくて食事が不規則な方、目標量が大きい方にとっては、1杯で約20gを確保できる手軽さに価値があります。
Q4. たくさん摂ると太りませんか?
タンパク質にもカロリーがあるので、全体の摂取カロリーが消費を上回れば体重は増えます。ただしタンパク質は消化に使われるエネルギーが他の栄養素より大きく、満腹感も続きやすいため、同じカロリーなら太りにくい側の栄養素です。増やすときは、その分だけ他を減らして総カロリーを見ておいてください。
参考文献
[1] 安静時および筋力トレーニング後に、ホエイプロテインを0・10・20・40g摂取したときの筋タンパク質合成速度を比較した研究(トレーニング経験のある男性48人・片脚運動). American Journal of Clinical Nutrition. 2014. (PMID: 24257722)
[2] 全身のレジスタンス運動後にホエイプロテイン20gと40gを摂取し、除脂肪量の多寡による筋タンパク質合成の違いを比較した研究. Physiological Reports. 2016. (PMID: 27511985)
[3] 運動後にタンパク質25gと100gを摂取し、4種類の同位体トレーサーで同化反応の大きさと持続時間を追跡した研究. Cell Reports Medicine. 2023. (PMID: 38118410)
[4] タンパク質補給がレジスタンストレーニングによる筋量・筋力の増加に与える影響を49研究1,863人で解析したシステマティックレビューとメタ分析(1.62 g/kg/日で頭打ち). British Journal of Sports Medicine. 2018. (PMID: 28698222)
[5] 健康な成人における高タンパク質食と腎機能の関係を28研究1,358人で解析したシステマティックレビューとメタ分析. The Journal of Nutrition. 2018. (PMID: 30383278)
[6] 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(mext.go.jp)