年末年始の「ちょっと増えた」は、1年後も残る
オーストラリアの成人368人に1年間、体重を毎日(少なくとも毎週)測ってもらった研究があります(JAMA Network Open, 2023)。1年間の体重増加の中央値は体重の0.26%(約218g)と小さい一方、週の中でも約0.3%(約252g)の変動があり、月曜と火曜がいちばん重い。そしてクリスマスから年始にかけて、体重は平均0.65%上がりました。体重84kgの人なら約550gです。
「その程度なら戻る」と思うかもしれません。ここで、別の追跡研究が効いてきます。ルーマニアの成人120人を、冬休み前・直後・1年後の3時点で体組成計測した研究では、休暇前68.25kg、直後69.40kg、1年後69.45kgと、休暇で増えた分がそのまま残っていました。内臓脂肪の面積も98.5から100.5、そして1年後101.4平方センチメートルへと、戻るどころか維持されています(Medicina, 2026)。

※ 成人120人を冬休み前・直後・1年後の3時点で追跡。休暇前の体重を基準にした増加分。出典: Udroiu IV, et al. Medicina, 2026(PMID: 41901591)
この研究の著者らは、年間の体重増加と休暇期間の増加がほぼ同じ大きさだったと述べています。言い換えると、1年分の体重増加は、年末年始の数週間で決まっている可能性がある。冬をどう過ごすかは、その年の体型を左右する分岐点です。
冬に太る本当の理由は「動かなくなる」こと
冬の体重増は食べ過ぎのせい、と片づけたくなりますが、もう一つの要因が身体活動の減少です。ドイツの65歳以上1,324人に加速度計を着けて歩行時間を測った研究では、天候の要素すべてが歩く時間に影響し、最も強かったのは日射量でした。平均的な冬の日と夏の日を比べると、歩行時間は男性で16.1分、女性で9.2分、冬のほうが短かったのです(Journal of Epidemiology and Community Health, 2012)。風が強い日、雨の日、湿度が高い日も、歩く時間は有意に減っていました。
日本のデータもあります。女子大学生31人の体重と生活習慣を春・秋・冬で比べた研究では、体重は秋に減り、冬には増える傾向があり、歩数と摂取エネルギーは季節で有意に変化していました(International Journal of Environmental Research and Public Health, 2020)。ただし、体重が増えた人と維持した人で生活習慣の変化に差は見られず、著者らも「冬の体重増を一つの行動で説明できない」としています。ここは正直に書いておきます。
| 冬に起きること | 研究が示した数字 | 対策の方向 |
|---|
| 年末年始の体重増 | 平均+0.65%(約550g/84kgの人) | 増える前に「動く枠」を持つ |
| 増えた分の持続 | 1年後もほぼ同じ(+1.15kg→+1.20kg) | 1月に戻す計画を立てる |
| 日照・気温による活動減 | 歩行が1日9〜16分減(高齢者) | 天候に左右されない屋内の運動 |
| 歩数と摂取エネルギーの季節変化 | 冬に体重増の傾向(日本の若年女性) | 食事より先に活動量を確保 |
寒い日に外を歩く時間が減るのは、意志の問題ではなく環境の問題です。であれば、対策も環境で打つのが筋です。天候に左右されない屋内で、短い時間の運動を「予約」してしまう。それが冬に効く設計です。
冬に始める人が春に差をつける理由
理由は3つあります。
- 増える前に手を打てる:年末年始の増加と、その持続を知っていれば、12月に運動の枠を作っておくだけで結果が変わります。1月に慌てて始める人と、12月から週2〜3回動いている人では、春の時点で3ヶ月分の差がついています。
- 習慣が「季節に依存しない」:冬に屋内で作った習慣は、天候の良い春夏に崩れにくい。逆に、春の陽気で始めた運動は、次の冬に最初の試練を迎えます。
- 競争が少ない:ジムの新規入会は春に集中します。冬に始める人は、トレーナーの時間も予約枠も余裕がある中で、フォームを固められます。
「春から」と決めている方に伝えたいのは、春は「始める季節」ではなく「差が見える季節」だということです。運動の頻度と定着の関係は、パーソナルジムは週に何回通うべきかで詳しく扱っています。年末年始の食べ過ぎからの立て直しは、年明けの運動再開ガイドも参考にしてください。
冬の運動で気をつけること:服装・準備・時間帯
冬の運動には、夏と違う注意点があります。
- ウォームアップを長めに:気温が低いと筋肉と関節が温まるまでに時間がかかります。最初の5分は軽い動きで体温を上げ、そのあと本番の種目に入ります。
- 朝は体が硬い:起床直後は体温が低く、可動域も狭い。朝に運動するなら、いきなり重い重量や深い可動域の種目から始めず、ピラティスの呼吸や軽いスクワットから入ります。
- 重ね着で調整:屋内では運動開始後に体温が上がるので、脱げる服で来る。手ぶらで来てレンタルウェアに着替えれば、この問題はなくなります。
- 水分:冬は喉の渇きを感じにくく、水分摂取が減りがちです。運動前後に一口ずつでも飲んでください。
- 時間帯は「守れる時間」で選ぶ:朝でも夜でも、続く時間帯が正解です。冬の朝の暗さで起きられないなら、帰宅前の30分に切り替える。
冬の30分メニューの例も置いておきます。週2〜3回、内容は全身の基本種目が中心です。
| 曜日の例 | 内容 | 種目の例 |
|---|
| 月(筋トレ) | 全身の基本 | ゴブレットスクワット、チェストプレス、シーテッドロウ、デッドバグ |
| 水(ピラティス) | 姿勢と呼吸 | リフォーマーのフットワーク、胸椎の伸展・回旋、サイドリフト |
| 金(筋トレ) | 下半身とお尻 | レッグプレス、ルーマニアンデッドリフト(軽負荷)、ヒップスラスト、カーフレイズ |
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よくある質問(FAQ)
Q. 冬は痩せにくい季節ですか?
A. 「痩せにくい」というより「動かなくなる」季節です。研究では、日照や気温の低下で歩く時間が1日9〜16分減っていました。屋内で動く時間を確保できれば、季節は言い訳になりません。
Q. 寒い日は運動を休んだほうがいいですか?
A. 体調が悪い日は休んでください。寒さだけが理由なら、屋内の運動に切り替えるのが答えです。ウォームアップを長めにとれば、冬でも運動の質は落ちません。
Q. 年末年始に増えた体重は、いつまでに戻せばいいですか?
A. 研究では、休暇で増えた分が1年後も残っていました。「自然に戻る」を期待せず、1月中に運動の枠を戻すことをお勧めします。増えた分が小さいうちほど、戻すのは簡単です。
Q. 冬から始めると、春までに何が変わりますか?
A. 週2〜3回を12月から続ければ、春までに約3ヶ月分の積み上げになります。体型の変化には個人差がありますが、筋力と「運動が生活に組み込まれている感覚」は、春に始める人より確実に先に手に入ります。
参考文献
[1] Maher C, et al. Weekly, Seasonal, and Festive Period Weight Gain Among Australian Adults. JAMA Network Open. 2023.(PMID: 37498598)
[2] Udroiu IV, et al. Persistence of Body Composition Changes Observed During the Winter Holiday Period: A Three-Time-Point, One-Year Longitudinal Study. Medicina. 2026.(PMID: 41901591)
[3] Klenk J, et al. Walking on sunshine: effect of weather conditions on physical activity in older people. Journal of Epidemiology and Community Health. 2012.(PMID: 21325149)
[4] Yoshimura E, et al. Changes in Season Affect Body Weight, Physical Activity, Food Intake, and Sleep in Female College Students: A Preliminary Study. International Journal of Environmental Research and Public Health. 2020.(PMID: 33255205)