結果表の3つの数字が示すもの
肝機能としてよく載る項目は3つです。まず意味を押さえます。
| 項目 | 何を示すか | 保健指導判定値 | 受診勧奨判定値 |
|---|
| AST(GOT) | 肝細胞などの障害。心筋・骨格筋にも含まれる | 31 U/L以上 | 51 U/L以上 |
| ALT(GPT) | 肝細胞の障害。肝臓により特異的 | 31 U/L以上 | 51 U/L以上 |
| γ-GT(γ-GTP) | 胆道系の障害。飲酒に反応しやすい | 51 U/L以上 | 101 U/L以上 |
※ 判定値は厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム」に基づく区分です。基準は健診機関により表記が異なる場合があります。
読み方のポイントを3つ。
ALTがASTより高いときは、脂肪肝を疑う典型パターンです。逆にASTがALTより高く、γ-GTも高い場合はアルコールの影響が疑われます。もちろん例外はありますし、判断は医師がするものですが、自分の結果表を眺めるときの視点として持っておくと理解が進みます。
γ-GTは飲酒に敏感に反応します。ここだけ高い場合、直近の飲酒量が効いている可能性が高い。逆に言えば、生活を変えれば比較的早く動く数字でもあります。
そして、筋トレを始めた直後にASTやALTが一時的に上がることがあります。これらの酵素は骨格筋にも含まれるため、強い運動で筋肉に微細な損傷が生じると血中に漏れ出るからです。健診の直前に激しいトレーニングをすると、肝臓が悪くないのに数値が上がることがある。健診前の数日は激しい運動を避けるのが無難です。
脂肪肝は「飲まない人」にも起こる
脂肪肝とは、肝臓の細胞に中性脂肪が過剰に溜まった状態です。かつては飲酒によるものが中心と考えられていましたが、現在は飲酒量が少ない人に起こる脂肪肝(代謝機能障害に関連する脂肪性肝疾患)が大きな比率を占めています。
背景にあるのは、糖質・脂質の過剰摂取、運動不足、内臓脂肪の蓄積、インスリンの効きの低下です。つまり、血糖値やHbA1cの上昇、中性脂肪やコレステロールの異常と同じ土壌から生えてきます。健診で肝機能だけが単独で引っかかることは少なく、血糖・脂質・腹囲のどれかと一緒に指摘されている方が多いのは、そのためです。
ここが重要な視点です。肝臓の数字は、肝臓だけの問題ではなく、代謝全体の状態を映す窓です。だから対策も肝臓限定ではなく、代謝そのものを動かすものになります。運動が効くのは、そういう理由です。
体重が減らなくても、肝臓の脂肪は減る
この記事でいちばん伝えたいデータです。
運動と肝臓の脂肪の関係を調べた38件のランダム化比較試験(1,880名)を統合したネットワークメタ解析があります(Obesity Reviews, 2026)。結果は明快でした。
- 運動は肝臓内の脂肪を有意に減らした(標準化平均差 -0.33)。
- この効果は、年齢・BMI・健康状態・介入期間・週の頻度・性別、そして体重の変化率で分けたどのサブグループでも確認された。
- 効果の順位は、高強度インターバル(p値スコア0.95)、有酸素運動(0.77)、有酸素と筋トレの複合(0.52)、筋トレ単独(0.10)。
- 肝機能の数値そのものも改善し、ALTは平均3.72 U/L、ASTは3.51 U/L低下。空腹時血糖やHbA1cも下がりました。
3行目までは想像がつくかもしれません。決定的なのは2行目です。体重がほとんど変わらなかった人でも、肝臓の脂肪は減っている。
これは、健診対策として運動を考えるときの見方を変えます。「まず10kg痩せないと数値は戻らない」と思って、達成できそうにないから何もしない。この思考停止から抜け出せます。体重計の数字が動かなくても、肝臓の中では変化が起きている。しかも肝臓の脂肪は、皮下脂肪より運動に反応しやすい脂肪です。
一方で、正直に書いておきます。減量できるなら、そのほうが効果は大きい。体重を減らすと肝臓の脂肪はさらに減りますし、脂肪肝の管理では体重の減少幅が改善度と関連することが知られています。ですから「体重を落とさなくていい」ではなく、「体重が落ちる前から効果は始まっている」と理解してください。
どの運動を、どれだけやるか
順位だけ見ると「高強度インターバルをやるべきか」と思いますが、実務的な答えは違います。
高強度インターバルは、続けられる人には最良の選択肢です。短時間で済み、肝脂肪への効果も高い。ただし、いきなり始めると膝や腰を痛める、あるいはきつくて続かないという現実があります。健診で肝機能を指摘される層は、運動から離れている期間が長い方が多い。効果の順位より、実行できる順位を優先すべきです。
現実的な組み立ては次の通りです。
- 土台は有酸素運動。週に合計150分程度の早歩き相当を目安に。都庁前なら新宿中央公園を歩くルートが使えます。1回30分でも、10分×3回に分けても構いません。
- 筋トレを週2回足す。単独の順位は低いものの、筋肉は糖と脂肪の受け皿であり、代謝の土台です。長期的に見れば、筋肉量を増やすことは脂肪肝の再発予防に効きます。筋トレの効果は肝臓の数値より先に、体組成に現れます。
- 慣れたら強度を上げる。息が弾む強度を短く挟む形にすると、高強度インターバルに近づきます。ここまで来れば効率は一段上がります。
- 飲酒の見直しは、並行して。γ-GTが高い方は特に。休肝日を作る、1回量を減らす、蒸留酒でも量が多ければ同じ、というあたりから。会食が続く方の調整法はこちらの記事にまとめています。
実際、RESIST西新宿店でも健診をきっかけに来店される方は多く、運動経験があって中断していた層なら、通い放題の高頻度で1〜2ヶ月のうちに体脂肪や筋肉量の変化を実感するケースが目立ちます。数値は体の変化に少し遅れてついてくる、というのが現場の実感です。
都庁前で、次の健診までに動かす
肝機能の数値は、生活を変えれば比較的素直に反応する項目です。特にγ-GTは動きが早く、数週間から数ヶ月で変化が見えることも珍しくありません。ALTや脂肪肝そのものは、もう少し時間がかかります。次の健診まで3ヶ月以上あるなら、十分に間に合います。
RESIST西新宿店は都庁前駅から徒歩10分。1回30分・完全マンツーマン・通い放題で、手ぶらで通えて当日予約もできます。残業や会食で崩れがちな週でも、空いた日にリカバリーを入れられる仕組みです。営業は毎日8時から22時までなので、朝の始業前に30分だけ動く使い方もできます。
健診シリーズとして、「要経過観察」全般への対策、脂質(中性脂肪・コレステロール)編、血糖値・HbA1c編も公開しています。複数を同時に指摘された方は、対策の中身がかなり重なることに気づくはずです。まずは体験セッションで、現在の体組成を測るところから始めてください。
よくある質問(FAQ)
Q. お酒をやめれば数値は戻りますか?
γ-GTだけが高い場合は、禁酒・節酒で戻ることが多いです。ただしALTが高い、腹部エコーで脂肪肝を指摘されている場合は、お酒をやめても改善しきらないことがあります。飲まない人の脂肪肝が増えているのはそのためです。飲酒量の見直しと並行して、運動と食事の量を調整するのが確実な道です。
Q. しじみやウコンなどのサプリは効きますか?
肝臓の数値を目的にした健康食品は数多くありますが、脂肪肝に対して運動や減量ほどの確立した根拠があるものは限られます。まず生活習慣を動かすのが優先で、サプリはその代わりにはなりません。医薬品との相互作用もあるため、服薬中の方は自己判断で足さないでください。
Q. 健診の前だけ節制すれば数値は良くなりますか?
γ-GTのように短期の飲酒に反応する項目は、直前の節酒である程度動きます。ただし脂肪肝そのものは数日では変わりませんし、そもそも数値は自分の体の状態を知るためのものです。ごまかしても損をするのは自分だけです。むしろ健診直前は、激しい運動を避けて(筋損傷でASTやALTが上がるため)、いつも通りの生活で受けるのが正確です。
Q. 脂肪肝は放っておくと、どうなりますか?
多くは進行せずに経過しますが、一部は炎症を伴う段階(脂肪肝炎)へ進み、さらに一部は線維化が進むことが知られています。だからこそ、指摘された段階で生活を見直す価値があります。逆に言えば、この段階は最も戻しやすいタイミングでもあります。心配な方は、医師に肝臓の線維化の評価が必要かどうかを相談してください。
参考文献