男性更年期とは何か
テストステロンは、20代をピークに、その後は緩やかに減っていきます。この低下自体は生理的な現象で、全員に症状が出るわけではありません。しかし、低下の度合いや体の感受性によって、日常生活に支障が出る場合があります。それがLOH症候群です。
症状は幅広く、大きく3つに分けられます。
| 分類 | 主な症状 |
|---|
| 身体面 | 疲労感、筋力・筋肉量の低下、内臓脂肪の増加、発汗、ほてり、睡眠の質の低下 |
| 精神面 | 意欲の低下、集中力の低下、抑うつ気分、イライラ |
| 性機能 | 性欲の低下、朝立ちの減少、勃起機能の低下 |
見て分かる通り、症状の多くは「働きすぎて疲れている中年男性」とほぼ区別がつきません。うつ病、睡眠時無呼吸、甲状腺の異常、単なる過労とも重なります。だからこそ自己判断は危険で、症状が強い場合は泌尿器科やメンズヘルス外来での血液検査(遊離テストステロンの測定)が必要になります。
特に注意してほしいのは、日中の強い眠気やいびきを伴う場合です。睡眠時無呼吸は、それ自体がテストステロンを下げる要因として知られています。この場合、ホルモンの問題として扱う前に呼吸の問題を解決すべきで、詳しくはいびきと日中の眠気の記事にまとめました。
「筋トレでテストステロンが上がる」は本当か
ここが本題です。結論から言います。運動でテストステロンが上がるかどうかは、その人の状態によって答えが変わります。
健康で運動不足なだけの男性の場合: ほぼ変わらない
運動不足だが健康な男性を対象に、運動介入が安静時の総テストステロン濃度に与える影響を調べた11件のランダム化比較試験(421名、19〜75歳)のメタ解析があります。有酸素運動、筋トレ、複合トレーニングを中央値12週間行った結果はこうでした(Journal of Strength and Conditioning Research, 2021)。
運動による安静時テストステロンへの効果は、ほぼゼロ(標準化平均差 0.00)。しかもこの結果は、トレーニングの種類、年齢、体格、測定方法のいずれで分けても変わりませんでした。
これは重要な事実です。筋トレの直後に一時的にホルモンが上昇することは知られていますが、それは「安静時の水準が底上げされる」ことを意味しません。「筋トレすればテストステロンが増えて元気になる」という単純な図式は、少なくとも正常範囲の男性については、データが支持していません。
肥満や糖尿病がある男性の場合: 上がる
一方で、別の結果もあります。肥満または2型糖尿病のある人を対象に、有酸素運動の効果を調べた7件の研究(103名)のメタ解析では、男性のテストステロン濃度が中程度の上昇を示しました(効果量 0.565)。女性では有意な変化はありませんでした(Sports Medicine - Open, 2024)。
この2つの結果を並べると、道筋が見えてきます。運動そのものがホルモンを直接押し上げるのではなく、肥満や代謝の悪化によって下がっていたテストステロンが、それらの改善によって戻る。内臓脂肪は男性ホルモンを女性ホルモンに変換する酵素を多く含むため、脂肪が減ればテストステロンの環境は改善します。
つまり、お腹まわりに脂肪がついている40代男性にとって、減量はホルモン対策そのものです。逆に、体脂肪が適正で数値も正常な方が「もっと増やそう」と運動量を積み増しても、安静時の数値は動かない可能性が高い。
それでも運動をすすめる理由
「数値が上がらないなら意味がないのか」と思われるかもしれません。逆です。
思い出してください。LOH症候群で困っているのは、テストステロンという数字そのものではなく、疲労感、意欲の低下、筋力の低下、内臓脂肪の増加、睡眠の質の低下という症状です。そして、これらはすべて運動が直接改善できる領域です。
- 筋力・筋肉量の低下は、筋トレで確実に戻せます。40代・50代でも筋肉が増えることは研究で繰り返し示されており、こちらの記事に詳しくまとめました。
- 内臓脂肪は運動によく反応する脂肪です。減れば、ホルモン環境も含めて代謝全体が改善します。
- 疲労感・意欲の低下については、運動を続けた人でエネルギー感が高まり疲労感が下がることが示されています。しかも、疲れている人には低強度のほうが効くという知見もあります(疲労の記事)。
- 睡眠の質も運動で改善し、睡眠が戻ればテストステロンにも有利に働きます。
つまり、数値を目的にするのをやめて、症状と体組成を目的にする。これが40代男性にとって最も費用対効果の高い戦略です。結果としてホルモンが戻る人もいれば、数値は変わらないまま症状だけ楽になる人もいます。どちらでも構いません。困っているのは症状のほうなのですから。
新宿で働く40代の、現実的な設計
新宿で働く40代は、時間がありません。管理職として会議に追われ、会食も入る。子どもがいれば週末も自分の時間ではない。この条件で組むなら、優先順位は明確です。
- 週2回の筋トレを最優先。大きい筋肉(下半身・背中・胸)から。筋肉量は加齢とともに自然に減る資産で、筋トレでしか維持できません。週1〜2回でも筋肥大は積み上がります。
- 内臓脂肪を落とす。食事の見直しと有酸素運動。会食が多い方の調整法はこちらの記事にまとめています。
- 睡眠を削らない。テストステロンの分泌は睡眠と強く結びついています。トレーニングだけ足して睡眠を削ると、収支はマイナスです。
- アルコールを見直す。過度の飲酒はテストステロンの産生に不利に働き、睡眠の質も落とします。頻度と量の見直しが、実は最も効く介入かもしれません。
そして、症状が重い場合は運動より先に受診を。特に、抑うつ気分が強い、性機能の低下が明確、日中の眠気が強い場合は、専門の医療機関で検査を受けてください。運動は治療の代わりではありません。ただし、治療を受ける場合でも、運動は並行して行う価値のある土台です。
「歳のせい」で片付ける前に
RESIST西新宿店は、新宿駅から徒歩15分、都庁前駅から徒歩10分、初台駅から徒歩7分。パーソナルトレーニングとマシンピラティスの両方を、1回30分・完全マンツーマンで通い放題で使えるジムです。
40代男性にこの形式が向いている理由は3つあります。1回30分なので、忙しい平日に組み込める。完全個室なので、体型が変わった今の体を誰にも見られない。そしてその日の状態に合わせて内容を変えられるので、疲れが強い日はピラティスとストレッチでコンディションを整えるだけでもいい。
「行くと気持ちが前向きになる」という声は、会員の方からよく聞きます。実際、来店時は「今日はしんどい」と言っていた方が、帰り際には表情が変わっているのが日常的な光景です。運動には、その日のうちに実感できる効果と、数ヶ月かけて出る効果の両方があります。
会員の平均来店頻度は週4.6回。営業は毎日8時から22時まで。まずは体験セッションで、今の筋肉量と体脂肪率という「動かせる数字」から確認してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. サプリでテストステロンを上げられますか?
亜鉛やビタミンDなど、不足している場合に補うことで意味がある栄養素はあります。しかし、足りている人がさらに摂って数値が上がるという確立した根拠は乏しいのが実情です。「テストステロンブースター」を名乗る製品の多くは、期待される効果に対して根拠が不十分です。まず体脂肪、睡眠、飲酒を見直すほうが確実です。
Q. 病院ではどんな検査をしますか?
一般的には、症状の問診票と血液検査による遊離テストステロン値の測定が行われます。日本では遊離テストステロンが指標として使われることが多く、値と症状の両方から判断されます。治療にはホルモン補充療法などの選択肢がありますが、適応や副作用の判断は専門医の領域です。気になる方は泌尿器科やメンズヘルス外来へ。
Q. どのくらいの強度でやるべきですか?
筋トレは、正しいフォームで10回程度できる重量から。追い込みすぎは40代の体には回復の負担が大きく、かえって疲労を蓄積させます。疲労感が主症状の方は、低強度から始めるほうが結果が出やすいという研究もあります。強度より、まず週2回という頻度を確保するほうが優先です。
Q. 若い頃と同じトレーニングでは駄目ですか?
原則は同じですが、回復にかかる時間が伸びています。20代のように連日追い込むと、疲労が抜けないまま次のセッションに入り、成果が出にくくなります。休養も計画のうち、という考え方に切り替えるのが40代の正解です。
参考文献