「健康診断は異常なし」なのに疲れが取れない人へ!隠れ貧血と「フェリチン」の話

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2026/6/1 20:02

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2026/6/1

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執筆者:

石岡大輔 | Daisuke Ishioka

(パーソナルトレーナー)

朝起きた瞬間から、もう疲れている。会議中に頭がぼーっとして、メールの文章が頭に入ってこない。階段では思ったより息切れする。それなのに健康診断は「異常なし」。

気のせいでも、年齢のせいでも、性格のせいでもないかもしれません。最近よく聞く「隠れ貧血」と「フェリチン」あなたの不調の正体は、ここにあるかもしれません。

最近こんな不調を感じませんか?

  • 朝、目覚ましが鳴っても体が重い

  • 夕方になると頭がぼーっとして、文章が頭に入らない

  • 階段や駅の坂で、思ったより息が切れる

  • シャンプー時の抜け毛が増えた、爪が縦に割れる

  • 些細なことでイライラする、気分が沈みやすい

  • 肌のくすみがファンデでも隠れにくくなった

  • 運動しても、なかなか体力がついてこない

この症状は、ぜんぶ別物に見えますよね。でも、鉄が足りていない女性を調べた研究では、平均して16種類以上の症状を同時に抱えているというデータが報告されています。「だるい」「気分が落ちる」「集中できない」が一人の中で同居することも、めずらしくありません。

軽度の鉄不足でも、持久力が落ちたり、イライラや引きこもり傾向が強まる可能性が報告されています。

あなたが感じている「なんとなく」には、医学的な名前がついているかもしれません。気のせいでも根性の問題でもないく、何が原因があるかもしれません。

健康診断では見つからない「隠れ貧血」の正体

「貧血じゃないって言われたんですけど」ここでよく出てくる勘違いを、お金のたとえで整理させてください。

健康診断で測るヘモグロビンは、いま財布の中で動いている「現金」のような鉄です。

一方のフェリチンは、銀行口座に預けてある「貯金」の鉄です。

日々の生活で現金が減ってきたら、貯金を取り崩して財布に補充します。だから貯金が尽きかけていても、財布の中身(ヘモグロビン)はしばらく正常に見えてしまう。これが「隠れ貧血」と呼ばれる状態の正体です。

国際的なレビューでも、フェリチンの低下は鉄欠乏を示す有用な指標とされ、ヘモグロビンが正常でもフェリチンが低ければ鉄不足と判断する根拠になり得るとされています。

目安としてよく示されるのが「フェリチン30ng/mL未満」というラインです。ただしフェリチンは風邪などの炎症があると一時的に上がるため、体調が悪いときの数値は注意して読む必要があります。

そしてここが大事なところ。日本人の若い女性を対象にした研究では、貧血ではないけれど鉄が不足している女性(=隠れ貧血)は、疲労感・怒りっぽさ・緊張感が、鉄が足りている女性に比べてはっきり高いと報告されています。

「最近、自分でも何にこんなにイラついているのか分からない」という感覚は、性格ではなく数値の問題かもしれません。

なぜ気づかないうちに鉄を失っているのか?

女性は月経で毎月、一定量の鉄を失い続けています。生理が重めの人、レバーやお肉を意識して食べていない人、ダイエットの時期があった人は、入ってくる量より出ていく量のほうが多くなりやすいです。

鉄欠乏の症状が貧血の有無に関わらず女性に広く見られるのは、この慢性的な鉄分不足が背景にあると報告されています。

もうひとつの落とし穴が吸収効率です。食事から摂った鉄のうち、実際に体に取り込まれるのはごく一部。とくに植物に多い鉄(植物性食品由来の鉄)は、コーヒーや紅茶に含まれるタンニン、食物繊維、カルシウムなどによって吸収が妨げられやすいことが知られています。

だから「ほうれん草も食べてるし、鉄サプリも飲んでるのに変わらない」が起きやすいのは、この吸収率が原因として考えられます。

運動している人は、もっと鉄を失いやすい!

ここからは、普段トレーニングなどで体を動かされている方や、これから始める方に、特に知っておいてほしい内容になります。

運動している人は、運動していない人よりも鉄を失いやすいことが分かっています。スポーツ医学の包括的レビューによれば、女性アスリートの15〜35%、男性アスリートでも5〜11%が鉄欠乏の状態にあると報告されています。

ただし、「アスリート」という言葉に身構える必要はなくて、週に数回トレーニングをしている人なら誰でも、このリスクの中に入ります。

運動している人が鉄を失いやすい理由は、主に4つあります。

① 尿から鉄が出ていく

意外かもしれませんが、体には「鉄をわざわざ捨てる」仕組みがありません。なので普段の尿に鉄はほとんど含まれていません。それなのに運動後に尿から鉄が出ることがあるのは、下記の②で壊れた赤血球の中身(鉄を含むヘモグロビン)が腎臓から漏れ出てしまうから。つまり「尿から鉄が出る=赤血球が壊れているサイン」とも言えます。

② 着地の衝撃で赤血球が壊れる

ランニングやジャンプのように地面に強く着地する動きを繰り返すと、足の裏の細い血管の中で赤血球が物理的につぶれて壊れます。

壊れて出た鉄は、本来「運び屋」のタンパク質が回収してくれます。でも運動が激しくて運び屋が足りなくなると、回収しきれなかった分が尿に出ていってしまう。これが①の尿の正体です。

とはいえ、健康な人なら体がちゃんと埋め合わせます。フルマラソン後でも、赤血球が壊れた形跡は出るのに、血液中のヘモグロビンの量自体はほとんど変わらなかったという報告もあります。気をつけたいのは、これが長い期間積み重なって、貯蔵してある鉄がじわじわ減っていくケース。対策はシンプルで、クッション性の高い靴を選び、硬すぎない路面を走ること。走る・跳ぶ動きが多い人ほど関係が深い項目です。

③ 運動した後は、鉄を吸収しにくくなる

ここが一番のポイントです。

運動をすると体に軽い炎症が起き、「ヘプシジン」というホルモンが増えます。これは鉄の吸収をコントロールする司令塔のような存在で、増えると腸からの鉄の吸収にブレーキがかかります。しかもこのホルモンは運動の3〜6時間後にピークを迎えます。ある研究では、運動後に鉄の吸収率が36%も下がっていました。

そして見落とされがちなのが、これは走る運動だけの話ではないこと。筋トレは、自転車などの有酸素運動よりもこのホルモンを大きく増やすことが分かっています。

つまり、運動直後に鉄をたっぷり摂っても、一番吸収されにくいタイミングに当ててしまっているということ。鉄を意識するなら、運動直後ではなく朝や運動と離れた時間に摂るのがおすすめです。

④ 筋肉が増えると、必要な鉄も増える

鉄は血液(ヘモグロビン)だけでなく、筋肉の中にもたくさん使われています。筋肉が酸素をためておくための部品(ミオグロビン)や、エネルギーを作り出す工場(ミトコンドリア)の材料になるからです。だからトレーニングで筋肉が増えるほど、必要な鉄の量も自然と増えていきます。体づくりに励んでいる時期ほど、鉄はしっかり確保したい栄養です。

これは「だから運動しないほうがいい」という話ではまったくありません。運動は最強の健康投資です。ただ、運動しているからこそ、自分の鉄状態を把握しておいたほうがいい、という話です。

トレーニングを始めたら、最初は調子よかったのに、最近なんだか伸び悩んでいるや、同じメニューなのに疲労感が抜けない!こういう体感のときは、鉄が背景にあることは少なくありません。

男性も、他人事ではありません

「鉄不足は女性の話」というイメージがありますが、男性アスリートの5〜11%が鉄欠乏という数字は、思った以上に高い割合です。

特に気をつけたいのは、

  • ベジタリアン・ビーガン傾向の人
    → 植物に多い鉄は吸収されにくい

  • 献血を頻繁にしている人

  • 長距離ランニングなど、足底への衝撃が大きい運動を続けている人

  • 減量中・カロリー制限をしている人
    → エネルギー摂取不足は、鉄を含む栄養素全体の不足につながる

  • 慢性的に消化器系の不調がある人
    → 胃腸の調子が悪いと吸収が落ちる

男性は月経による喪失がない分、鉄欠乏になるまでには時間がかかりますが、上の条件が重なれば、男性でも普通に隠れ貧血になります。

「病院に行く時間がない」方へ

正直にお伝えすると、自分のフェリチン値を知るには血液検査が最短ルートです。とはいえ、平日に休みを取って受診するハードルが高いのも、よく分かります。

現実的な選択肢としては、

  • 次の健康診断のオプション項目に「フェリチン」を追加する(人間ドックなら多くの施設で選べます)

  • 婦人科でピルの定期受診や生理相談のついでに、血液検査を依頼する

  • 内科でも「鉄欠乏が気になる」と伝えれば、フェリチンの測定は可能

このあたりが、忙しい人でも組み込みやすい入り口です。

一方で、「セルフケアより先に診てもらったほうがいい」サインもあります。たとえば、シャンプー時に明らかに抜け毛が増えた、地肌が透けてきたという変化。広範囲の抜け毛(休止期脱毛)はフェリチン低値と関連することが報告されており、フェリチンは抜け毛の背景を探る指標になり得るとされています。

ほかにも、生理の経血量が急に増えた・レバー状の塊が頻繁に出る・動悸や立ちくらみが強いといった症状がある場合は、自己流で対処せず、早めに医療機関に相談してください。

逆に、症状はあるけれど日常はなんとか回っている、まずは生活から変えてみたいなど、そんなときは、次のセクションのセルフケアから始めるのも一つの選択です。

どちらが正解ということはなく、今のリソースで選べるほうを選んでいい話です。なお、症状が続く場合や悪化する場合は、医療機関に相談してください。

今日から試せる、鉄を「減らさず・吸収させる」小さな習慣

ここからは、明日の夕食から取り入れられるレベルに落として話します。

1. ビタミンCを「同じ皿」に置く

植物に多い鉄の吸収を高めることが知られているのが、ビタミンC(アスコルビン酸)です。鉄を吸収されやすい形に変える役割があるとされています。

具体的には、

  • ほうれん草のおひたしに レモン を絞る

  • 赤身肉や豆料理に パプリカ・ピーマン を添える

  • 食後のデザートを 柑橘・キウイ・いちご にする

  • 副菜に ブロッコリー を一品

このくらいの「ついで」で十分です。とくに、お茶や全粒穀物など吸収を妨げる要素が一緒にあるときほど、ビタミンCの後押し効果は大きくなる可能性が報告されています。

2. コーヒー・紅茶は、食事から30分〜1時間ずらす

コーヒーや紅茶に含まれるタンニンは、鉄の吸収を妨げるとされています。食後すぐの一杯をやめろという話ではなく、食事中の飲み物は水か麦茶、コーヒーは少し時間を置いてから にするだけ。デスクのルーティンを少し動かす感覚で続けられます。

3. 運動した日は、回復食に鉄を入れる

トレーニングをした日は、その後数時間、鉄の吸収が一時的に落ちる可能性が指摘されています。逆にいえば、運動の前や、運動から少し時間を置いた食事のほうが、鉄を取り込みやすい可能性があるということです。

朝のトレーニング派なら、前日の夕食に赤身肉やレバーを入れておく。夕方トレ派なら、ランチを鉄が摂れる構成にしておく。このくらいの意識で十分です。

4. サプリを使うなら「毎日より隔日、朝1回」

ここ数年の研究で示唆されているのは、鉄サプリは毎日たくさん飲むほどよく吸収される、というわけではないという点です。鉄を続けて摂ると体内のヘプシジン(鉄を取り込みすぎないように調整するホルモン)が上がり、次に飲んだ鉄の吸収をかえって妨げる可能性が報告されています。

そのため、鉄が不足している女性では、朝に1回まとめて飲み、毎日ではなく1日おきにするほうが吸収効率が高く、胃のムカつきなどの負担も減らせる可能性があるとされています。鉄分においては「足りないなら倍飲もう」が逆効果になりうるというのは知っておく価値があります。

なお、サプリメントの利用にあたっては、持病や服薬がある場合、症状が強い場合は医師・薬剤師に相談してください。

5. 効果は「可能性として」期待する

貧血ではないけれど鉄が不足している女性に鉄を補ったところ、疲労感が有意に改善したというランダム化比較試験の報告があります。とくに、もともとフェリチンが低めだった人ほど、効果が出やすい傾向が示されています。

ただしこれは「飲めば必ず元気になる」という話ではなく、鉄不足が背景にある疲労なら改善する可能性があるという意味です。

原因が別のところ(睡眠負債、甲状腺、メンタル面など)にある場合は、鉄を足してもピンとこないこともあります。だからこそ、自分の数値を一度知っておくことに意味があるのです。

「気のせい」で済ませてきた自分に、数値という味方を

「最近疲れやすいのは年齢かな」「イライラするのは性格かな」と、ずっと自分の中で片付けてきたものを、こうして言葉にしてみるのは、自分の現状と向き合うことができるとても大事なことです。

フェリチンという数値は、「なんとなくつらい」を裏付けてくれる、静かな味方になり得ます。気合いでも性格でもなく、数値を見ることでその謎の原因が解明されるかもしれません!

特に、普段からトレーニングを頑張られている方はで、最近疲労が抜けないや、少し頭がふらつく時があるなどを感じたら、トレーニングメニューの見直しの前に、ぜい一度フェリチンを測ってみてください!

セルフケアとしては、今夜の夕食にレモンかピーマンを一品追加して、食後のコーヒーを少しだけ後ろにずらすところからでも全然OKです!

また、頻繁に不調を繰り返す方は、次の健康診断や通院のタイミングで、血液検査の項目に「フェリチン」を1つ加えてもらえないか聞いてみてください。

その小さな一歩が、自分の体と向き合うことができ、より本質的な健康とその先の幸福な人生に繋がっていくことを願っています!!


出典

  1. Verdon F, et al. Iron supplementation for unexplained fatigue in non-anaemic women: double blind randomised placebo controlled trial. BMJ. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12763985/

  2. Yokoi K, Konomi A. Iron deficiency without anemia is associated with anger and fatigue in young Japanese women. Biological Trace Element Research. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24756645/

  3. Beyond anemia: a comprehensive analysis of iron deficiency symptoms in women and their correlation with biomarkers. BMC Women's Health. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40721774/

  4. Effect of iron therapy on fatigue symptoms in non-anaemic iron deficient women of reproductive age—A Randomized Controlled Trial. JPMA. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41736325/

  5. Mild iron deficiency may affect female endurance and behavior. Physiology & Behavior. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30267737/

  6. Assessment of Serum Ferritin Levels in Female Patients With Telogen Effluvium. Cureus. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41607990/

  7. Garcia-Casal MN, et al. Serum or plasma ferritin concentration as an index of iron deficiency and overload. Cochrane Database of Systematic Reviews. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34028001/

  8. Stoffel NU, et al. Iron absorption from oral iron supplements given on consecutive versus alternate days and as single morning doses versus twice-daily split dosing in iron-depleted women. The Lancet Haematology. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29032957/

  9. Teucher B, et al. Enhancers of iron absorption: ascorbic acid and other organic acids. International Journal for Vitamin and Nutrition Research. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15743017/

  10. Sim M, et al. Iron considerations for the athlete: a narrative review. Eur J Appl Physiol. 2019;119(7):1463-1478. DOI

最後に|私たちRESISTについて

私たちパーソナルジム&ピラティス RESISTは、
「すべての人に、運動という“日常”を。」
をコンセプトに掲げ、運動の民主化を目指しているパーソナルジムです。

「パーソナルジムは敷居が高そう」
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そんな“運動を続けるうえでの壁”を、
仕組みとテクノロジー、そして何より人の温かさで壊していきたい。それが、RESISTの考え方です。

RESISTの特徴は、
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しかも、ただ筋トレをするだけではなく、

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この記事を書いた人

石岡大輔 | Daisuke Ishioka

RESIST西新宿店 代表トレーナー

全日本学生ボディービル 20位入賞

トレーニング歴8年

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